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家づくりの相談をしていると、最近は性能について詳しいお客様が本当に増えました。
断熱等級、UA値、C値、耐震等級。
僕らももちろん大事にしていますし、ちゃんと考えないといけない部分です。
ただ、僕自身は「数字が良ければ、それで良い家になる」という考えではありません。
僕は元々大工なので、性能の話を聞くと、どうしても材料そのものより「それを現場でどう施工するか」が気になります。
どれだけ良い断熱材を使っていても、施工が雑なら本来の性能は出ません。
逆に、性能の数字ばかりを追いすぎて、窓を小さくしすぎたり、暮らしにくい間取りになったりするのも違うと思っています。
性能はすごく大切です。
でも、それは家づくりの目的ではなく、暮らしを支える土台だと思っています。

家は数字の中で暮らすわけではない
例えば冬の日差し。
南側の窓から日射を取り込めれば、暖房だけに頼らず暖かく過ごせることがあります。
でも夏は、その日差しをきちんと遮らないと暑くなる。
庇や軒の出、窓の位置、周囲の建物、方角。
こういうものは全部つながっています。
断熱性能の数字だけを見ても、実際の暮らしの心地よさまでは分かりません。
間取りも同じです。
家事動線をできるだけ短くする、収納を増やす、廊下を減らす。
どれも合理的ですし、僕も考えます。
ただ、それだけを突き詰めると、家の中に余白がなくなってしまうことがあります。
少し遠回りしてでも気持ちいい場所があったり、窓の先に庭や空が見えたり、家族がなんとなく集まる場所があったり。
そういう「数字では測れない部分」も、暮らしてからの満足度にはかなり影響すると思っています。
僕はその両方を取りたいです。
性能もしっかり。
でも、性能のために暮らしを犠牲にしない。
ここはいつも設計で悩むところです。
図面がきれいでも、現場でつくれなければ意味がない
設計をしていると、「ここはきれいに納めたいな」と思うところがたくさんあります。
僕自身、すっきりした納まりは好きです。
でも大工をやっていた経験があるので、「これ、現場ではどうやってつくるんやろ」というのも同時に考えます。
図面では一本の線でも、実際には下地があって、仕上げがあって、防水や気密の処理があって、職人が手を入れるスペースも必要です。
デザインとしてはきれいでも、施工が無理をしていたり、雨仕舞が悪かったり、将来のメンテナンスが難しかったりするなら、僕はあまりおすすめしません。
逆に、少し納まりを工夫するだけで、見た目も施工も良くなることがあります。
設計と現場を別に考えない。
これはKEN建築工房としてかなり大事にしている部分です。
設計者が考えたものを現場がただつくる、というより、現場で気づいたことを設計に戻して、また考える。
僕はその行ったり来たりが必要だと思っています。
高性能住宅ほど、現場の精度が大事になる
性能を高めるほど、現場の施工精度はより大切になります。
例えば気密。
図面に「高気密住宅」と書けば気密が高くなるわけではありません。
配管や配線が貫通するところ、窓まわり、構造材との取り合い。
細かい部分を現場で一つずつ確認していく必要があります。
完成すると見えなくなるところが多いので、お客様には分かりにくい部分です。
でも僕は元大工なので、むしろそういうところの方が気になります。
性能の良い材料を選ぶことと、それを正しく施工すること。
この二つが揃って初めて意味があります。
これは性能だけではなく、防水や構造も同じです。
完成した時の写真には写らないけれど、長く住むうえではすごく大事なところです。
性能とデザインは、どちらかを選ぶ話ではない
「デザインを優先すると性能が落ちますか?」
と聞かれることがあります。
僕は、基本的にはどちらかを諦める話ではないと思っています。
もちろん、大きな窓をたくさん取りたい、軒をまったく出したくない、複雑な形にしたい、となれば性能や施工との調整は必要です。
逆に性能だけを優先すれば、もっと単純な家にすることもできます。
でも、その間にいろいろな答えがあります。
その土地の日射条件を見て窓を考える。
必要なところにはしっかり窓を取り、そうでないところは抑える。
素材や形も、施工性やメンテナンスを見ながら決める。
僕らが設計でやっているのは、そのバランスを探すことです。
何を優先するかは、その家族によって違う
家づくりに絶対の正解はないと思っています。
性能を一番大切にしたいご家族もいれば、素材感や庭とのつながりを大事にしたい方もいる。
料理が好きな人ならキッチンにお金をかけてもいい。
家具が好きなら、造作家具や照明を大事にしてもいい。
逆に、「ここはそこまでこだわらない」という部分があってもいいと思います。
予算は無限ではありません。
だから僕らがするのは、全部を良くすることではなく、「このご家族なら、どこにお金をかけた方がいいか」を一緒に考えることです。
何を残して、何を削るか。
これは家づくりではすごく大事です。
まだ間取りがなくても、土地が決まっていなくても大丈夫です。
むしろ最初の段階だからこそ、性能、デザイン、予算、暮らしを一緒に整理できます。
家の性能を競うためではなく、その先で気持ちよく暮らすために。
僕はそのくらいの距離感で、性能と設計を考えています。
僕自身、家づくりは比較表だけでは決められないと思っています。実際の土地やご家族の話を聞くと、同じ条件でも答えが変わるからです。そこが家づくりの難しさでもあり、面白さでもあります。
新築・建替えについて相談する
「まだ具体的なプランはない」「何から決めればいいか分からない」という段階でも大丈夫です。性能やデザインだけに偏らず、暮らしと予算を含めて一緒に整理します。
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